BLOG
震災時の長期停電に備えた病院の体制について
首都直下型地震が発生した時、霞ヶ関の機能は有明地区にある「災害現地対策本部」に移される。
この施設は大規模なヘリポートを備える巨大な要塞のような施設で、背後には「がん研有明病院」という病院があり、震災時にはこの病院が地域医療の最終砦となる。
この震災時の地域医療の拠点となるがん研の理事長は、日本郵船の元会長であり、経団連の副会長まで務められた僕の良き理解者。
お願いして防災ヒヤリングを行わせていただいた。
ちなみに、この病院は、六本木ヒルズにあるような自家発電装置コジェネレーションを装備する日本で最高の防災設備を持つ病院だ。
<質問>
震災時に想定される7日以上の長期停電に対し、どのような対策が講じられているのか?
A)コジェネも停止した場合、非常用発電機の備蓄燃料は5万リットルであり、発電できるのは72時間(3日)である。
<自家発電が停止することで生命に危険が及ぶ患者数はどのくらいか>
A)ベッド数700床、外来患者数1800人。電力が途絶えた場合、人命に危険が即及ぶ患者はICUに入っている患者を始め100名以上である。(総合病院だともっと増えるはずとのこと)
<非常用発電機燃料を調達する計画はあるか>
A)東京都では、非常用発電機燃料を優先的に供給するとは言っているが、具体的に「いつ、どこから、どうやって、何リットル」供給するかは説明されていない。
<電力の復旧目処が立たない場合、緊急を要する患者をどこに搬送するか>
A)この病院が「地域災害医療センター」という2時医療圏の最終的な防災拠点病院であり、地域の病院から患者が搬送されてくることはあっても、この病院から先の移送先はない。
つまり、電力の喪失が3日を超えた時点で、病院では大量の死者が出る可能性があるが、都では具体的な対策が取られていないという事がわかった。
日本最高の防災医療拠点でこの事態だから、他は推して知るべしだ。
港区には、災害拠点病院が3箇所あるが、区を通して同様の質問をしたところ、やはり満足のいく回答は得られなかった。
ICUの生命維持装置はもとより、酸素吸入他、今の病院では電気無くして人命の維持ができないケースが多々有る。
非常用発電機燃料は病院にとって必要不可欠のものであり、震災時に供給できる燃料備蓄施設があれば、多くの人命を救う事ができると確信した。
今まで、マンションの非常用発電機燃料確保に尽力してきたが、優先順位をつけながら都市防災全体の中で必要な非常用発電機燃料確保策を作っていきたい。