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長期停電に備えた高層住宅の防災対策
東日本大震災が発生する2ヶ月前の平成23年1月17日
海から発電機燃料を調達し、震災時の長期停電に備えるという僕の取組みが、NHKニュースとして全国に紹介されました。
あの東北の大震災が発生する2ヶ月前。
まだ誰も、首都圏が震災で電力不足に陥るなどと考えていない時のことです・・・
平成26年に経産省は、首都の電力の74%が復旧まで一週間以上かかると発表しました。
今までは、一週間で復旧するというのが想定だったのです。
以内が以上に変わった意味は、非常に重いことです。
一週間以上ということは、10日かも、2週間かも、1ヶ月かも知れない。
つまり、柏崎刈羽と福島の原発が首都のバックアップとして機能しない今、首都直下型地震によって同時に東京湾岸の火力発電所が被災すると、停電から復旧するまでの日数は読めないというのが正直な話なのです。
停電すればエレベーターは無論、火災報知機もスプリンクラーも、館内放送設備も作動しなくなります。
「電力が復旧するまでの一週間、マンションの自室で生活する」というのが行政の基本方針です。
その方針に対し、僕は「無理だ」と一貫していい続けてきました。
照明器具も、火災報知機も、スプリンクラーも、館内放送すら作動しない マンションで一週間も暮らせるわけがない。
これが、僕の主張です。
マンションには、消防法で非常用発電機の設置が義務づけられております。
しかし、マンションの自家発電機の燃料の量は消防法で規制されていて、数時間しか稼動できません。
給油しようにも、震災時には、ガソリンスタンドの燃料が1日で空になるのは誰もが経験したことです。
陸上で燃料の奪い合いが起きている時、目の前の東京港には、大量の燃料が浮かんでいました。
船舶燃料です。
船舶燃料は主に、マンションの自家発電機燃料として使用できるA重油と軽油 です。
震災の大停電時に、船の燃料をマンションに供給するという僕の独自の計画。
9年前に発案し、検討を続けてきましたが、海から陸へ給油する行為は、所管する法律の違いから製油所などを除き原則認められておらず、検討することすらご法度。
行政に相談に行っても相手にしてもらえませんでした。
解決に動いたのは311の震災から1年後。
友人の柿沢未途代議士が国会質疑で取り上げてくれ、初めて総務省通達による「危険物の仮取り扱い」という震災対応の特例が示されました。
国会で僕が住んでいた芝浦アイランドの名前が出た記念すべき国会質疑。
それから3年をかけ、国や都と特例の運用について交渉を続けた結果、ようやく事前許可の仕組みができ、僕の作った防災計画が合法的に実行できる道が開けたのです。
首都直下型地震で想定される長期停電に備え、発電し続けられるマンションの仕組みに取り組んで6年。
1人の地方議員が、国の制度に挑戦しつづけた6年でもあります。
平成27年1月17日の訓練の様子は、NHKが夜9時のニュースで全国放送してくれました。
現在、僕が設立し代表を務める「一般社団法人港区高層住宅の防災を考える会」では、7万世帯が暮らすマンションが一週間発電できる燃料(500KL)を確保するに至りました。
港区の高層マンションだけならほぼ全てをカバーできます。
震災時の大停電時に備え、発電し続けられるマンションの防災体制を作るという僕の公約は当初の目標地点を超えました。
今後は、新たな目標として、沿岸から離れた地域の方に燃料を届けるという具体的な運送計画の立案に入ります。