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エレベーター閉じ込めの恐怖

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令和4年5月、東京都が首都直下型地震の被害想定として、驚く数字を発表しました。
それは、エレベーターの閉じ込め事故想定件数。

都の想定では、なんと2万2千台のエレベーターで閉じこめ事故が発生するというのです。
自動管制システムで、P波を感知し、最寄り階にエレベーターが移動する前に本震のS波に襲われてエレベーターは緊急停止する!

都内のエレベーターの総数は16万6千台。
実に、8台に1台の割合で閉じこめられるという想定です!

これは、エレベーター会社の対応能力を遥かに超える数字です。

この都の予測数値を受け、エレベーター会社は「救出までに半日以上かかる可能性がある」と言っていますが、半日以上とは「3日も4日も一週間も含む」という事です。

夜勤は1〜2名が残るだけなので、従業員が夜勤シフトに入った後の、夜8時頃に震災に見舞われたら、一週間くらい救出が遅れても不思議ではありません。

このため、国の指導でエレベーター内に「ペットボトルとクッキーや簡易トイレ」が入ったコーナーボックスの設置が推奨されてきました。

真っ暗闇のエレベーターに数日閉じ込められる。

ペットボトルとビスケットと紙の簡易トイレ。
サバイバルの開始です。

何人かいたら奪い合い!
糞尿まみれの阿鼻叫喚の地獄絵図!

みんな耐えられますか?

無理でしょ!
僕は少なくとも無理です。

エレベーターからの救出は、専門家の到着を待つしかない。
なぜなら
エレベーターの機種ごとの専門知識と高度な技術が必要だから。

そう、エレベーター協会は10数年言い続けていました。

でも、それは「嘘」なのです。

エレベーターの扉というのは、30cmくらいの物差しのようなチャチなモノ(鍵)で、誰でも簡単に外から開けることができるのです。

技術なんかいりません。
本当に、誰でも簡単に開くことができる。

僕は、議会で訴えました。

エレベーターの閉じこめ事故対応として、責任問題からエレベーター会社の協力が得にくいのであれば、救出ではなく、「10cm」扉を開いて「がんばれ!」と声がけすることで、密室の恐怖から救ってあげることを行うべきだ!

僕は、エレベーター閉じこめ対応訓練を実施してくれる「独立系の事業者」を探し出し、区に紹介して、令和5年の暮れに、全国で初めてとなる「行政が主催する住民によるエレベーター閉じこめ対応訓練」を予算化することができました。

令和5年、3月11日 僕が住む33階建のマンション「シーリアお台場」で訓練が実施され、NHKが取材に来てくれました。

ここからは、報道されなかったのですが、メーカーが用意した住民救出用のマニュアルには、こう書かれていました。

1)エレベーターの外から鍵を使って扉を「5cm」だけ開ける。
2)この時、声をださず(中の人に気づかれないよう)そっと静かに開ける。
2)床とエレベーターの床との差が60cm以上あったら扉を再び閉めてロックする。
3)差が60cm以内だった場合は、扉を全開にして救出する。

中の人に気付かれ、顔を見られないよう5cmだけ開いて、段差が大きかったら助けないで再び閉じ込めろって、とんでもないマニュアルでした。

責任を回避することを優先し、中の人の気持ちに寄り添うことをしない。

エレベーター会社には猛省を促したい。
こんなマニュアルはゴミ箱行きです。

僕は、独立系エレベーター保守点検会社と一緒に「一般社団法人日本エレベーター防災協議会」という組織を立ち上げることにしました。

今年度は、全てのビルやマンションにおいて、防災センターや住民の手によって、安全にエレベーターから「1時間以内の救出」ができる体制作りを進めていきます。

みんな!
1時間以内に助けてあげるからね!