港区議会議員
榎本 茂

えのもと しげる

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子供にとって、一生に一度のチャンスを無駄にしない政策を

このパンダとトラの絵が描かれた紙

子供が3歳になると保健所から送られてくる「絵指標」と呼ばれる目の検査をする紙です。
このポップな紙が、子供の一生を左右するなど、想像できる親は多くはないと思います。

生涯、視力障害を負って生きるかどうか
それが、この絵指標によるチェック次第なのです。

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3歳児健診における視力の1次検査は家庭で行います。
このパンダとトラの目を片目だけくり抜いて、片目で見えるかどうかのテストが1次審査です。

しかし、弱視の子供の70%が、この家庭での検査の結果が合格となってしまっているのです。

弱視とは?

子供は生まれてしばらくは視力がありません。
成長するに従って、視力は少しづつ発達し、5歳で視力を司る脳が完成します。

しかし、子供のうち約5%の子供は、視力の発達が遅れてしまいます。
遅れたまま3歳を過ぎ、5歳を迎えると、視力障害を負ったまま一生を過ごすことになります。

弱視は、3歳までに治療を開始し、5歳までに治療を終えれば、9割以上が矯正視力で1.0まで回復することができます。

5歳を過ぎると視力を司る脳の回路が出来上がってしまうので、改善の可能性は限りなく低くなります。
3歳児検診は、子供にとって、人生を左右する極めて重要な分岐点となる可能性があるのです。

そして、この国が定めた検査。
弱視の子供の70%以上が、以上無しと親が判断してしまう代物。

つまり、こんなポップなものを子供に渡して、まともな検査など行えないという事です!
遊んでしまう子供を前に、親は「まっ、いいや、見えないわけないから」と見えていることにしてしまう。

子供の50人に1人が弱視の可能性がある。
弱視は、将来、全盲になる可能性もある怖い障害です。
片目、もしくは両目の視力障害を生涯負うことになった子供は、将来の職業選択の可能性も狭まり、大きな損失を背負って生きなければいけません。

3歳児健診における弱視の発見は、子供にとって、生涯を左右する重要な「最初で最期のチャンス」なのです!

僕は、この問題解決を平成25年より、議員でただ一人、区に求め続けていましたが、7年経った令和2年より、やっと3歳児検診に来所した全ての子供にスポットビジョンスクリーナーという医療機器で検査することになりました。

私の力不足で7年もかかってしまった。
この間、確率論からいうと、弱視の治療の機会を逸した子供の数は200名から300名に達する可能性がある。

この7年間で、検査に漏れ、視力障害を一生背負うことになった多くの子供に対し、慚愧の念に絶えません。

港区が導入に対して足踏みした7年間に、練馬区や千代田区など全国の多くの自治体がスポットビジョンスクリーナーによる検査を導入してきました。
悔しい気持ちでいっぱいです。

港区は、3歳児検診の受診率、都内ワースト1という不名誉な記録を更新し続けています。

この記録は、同時に、弱視の子供の見過ごし率も都内ワーストということに繋がります。
たとえ、保健所がスポットビジョンスクリーナーによる検査を行うことにしても、受診しない20%(600人)の子供たちは無検査です。

600人の子供たちの5%、約30人の子供たちは弱視を見過ごされ、治療の機会を毎年逸している。

私は、毎年約30人の弱視の治療の機会を逸した子供を救うために、自分のお金でスポットビジョンスクリーナーを購入しました。
これから児童館や子供の集まる施設を個人的に回って、検査して行こうと思ってます。

検査時間は2〜3秒。
泣いていても検査できます。
3歳でなくとも、0歳から検査できます。

お声がけ頂けましたら、どこへでも参上いたします。

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港区議会決算特別委員会
質問者 榎本茂
<3歳児健康診断における眼科検診について>

平成29年度決算特別委員会の総括質問において区長に質問させていただきます。

生まれた時に、ほとんど視力のない赤ん坊は、ものを両目で見るという経験を繰り返す過程で見る能力を身につけますが、生まれつき片目に強い遠視や斜視があると、脳に送られたピンボケやズレた画像が邪魔になるため、片方の目の映像だけ脳の中で消してしまいます。

このような習慣が6歳まで続くと、ピンボケやズレた画像を送ってくる目からの情報を脳が受け取らない回路が出来上がってしまいます。つまり片目でしか見ない脳ができてしまう。

このような状態を弱視と言います。

脳の発達の過程で、一度出来上がってしまった脳の回路は元には戻せません。
脳が発達してしまってからメガネをかけたり、斜視の手術をしても、弱視の状態は治せなくなります。
3歳から小学校に入学するまでが弱視の治療に効果が期待できる唯一の年齢です。

弱視は、三歳の時に治療を開始することができれば、9割がたは矯正視力で1.0まで持っていくことができるとのことです。
3歳児健診で発見し、治療を開始することが人生最初で最後のチャンスということです。

質問1)

平成28年度における3歳児健診の受診率は76.8%であり、港区では4人に一人が受診していません。
この受診率、平成9年度から、過去のデーターを調べてみましたら、港区は東京都のすべての自治体の中で不動のワーストでした。

なんと!何十年も万年ビリ。
恥ずかしい限りです。
都全体では、受診率100%近い99%という自治体もありますが、まずは汚名を挽回するとともに、一気に23区でトップを来年目指す目標を立てませんか。
他区にできて、港区にできないことなどあるわけがないと思っています。
区長の御所見を伺わせてください。

次に、受診率を上げるために、元営業のプロとしてご提案させていただきます。

質問2)

3歳児健診の案内に、最初から来ることのできない人のためのアンケートを同封するのをヤメて頂きたいのです。
最初から来ない事を想定している時点で、来なくても良いと言っているのと同じです。
2度手間になりますが、来なかった人へは督促通知を送り、そのリスクを認識してもらうと同時に来ない理由をアンケートに書いてもらうくらいで良いと思うのです。
区長の御所見を伺わせてください。

質問3)

次に、来ないことのリスクを、タバコのパッケージの注意書きくらいのインパクトを持って書いて頂きたいと願います。
3歳児健診を受けなかったために、小学校入学前の健診で弱視とわかり、治療のチャンスを失ったことを知った保護者の絶望的な気持ちを考えれば、受診しないリスクをきちんと伝えることは大切です。
区長の御所見を伺わせてください。

次に健診内容について伺います。

視力検査は、まず家庭で保護者がこの絵視標を使って検査を行います。
こんなポップなものを子供に与えて、大人しく座って指示どおりの回答を子供がしてくれるとは僕は思えません。
責任の所在も、発見できるかどうかの技量も全てが素人である親にかかっているのが現在の仕組みです。動き回る子供に手を焼き、「まあ、大丈夫だ」と検査を出来たことにしてしまう親が必ずいる。そして、一生において最初で最後の視力回復の機会を失ってしまう。
それを保護者の責任にするのは酷です。

質問4)

絵視標による家庭での検査を中止して頂きたい。
区長の御所見を伺わせてください。

練馬区では、平成28年度から、このポップな絵視票による家庭での検査だけに頼るのをやめ、全ての受診者に視能訓練士による検査を実施し始めました。
結果、眼疾患の可能性があると判断された陽性率は2.8%の港区を倍以上も上回る7.5%になっております。
もし、練馬の眼疾患発見率を港区に当てはめると、対象者2,551人中、眼疾患の可能性を疑われる3歳児は191名となります。しかし、港区で実際に精密検査を受けた子供は68名。
つまり、年間123名が精密検査の機会を逸していたことになります。
精密検査の結果、約2割は異常なしと判断されるので、港区では約100名の子供が治療の機会を逸した可能性を否定できません。

質問5)

練馬区のように受診するすべての子どもに視能訓練士による検査を行うことは、視能訓練士不足から困難が予想されます。
しかし、現在は検査機器が発達しており、最新のオートレフ検査機器であるスポットビジョンスクリーナーは1眼レフカメラ並みの大きさで、写真をとるように離れたところから検査でき、120万円で発売されています。
検査時間は約1秒。検査結果は無線でコンピューターに取り込まれます。
操作は、視能訓練士でなくても、看護師や保健師が行えます。
これなら、他の健診の待ち時間に検査を受けてもらうこともできます。
検査結果で疾患が疑われる子供だけ、専門家である視能訓練士が行えばいい。
是非とも検査機器を導入して全受診者に実施して頂きたい。
区長の御所見を伺わせてください。

子育てするなら港区。
僕は区長が掲げられたこの言葉に誇りを持っております。

是非とも、来年はワーストではなく、受診率100%を目指すとともに、全受診者に検査機器による検査を行い、人生最後の視力回復のチャンスを、港区で育つ全ての子供に提供して上げて欲しいと願って質問を終わります。